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ヒッポ『稲沢ベルダファミリー』と多言語のある暮らし vrdfml.exblog.jp

私のライフワーク『多言語活動”ヒッポ”』の地域での話題を中心に、気ままにつづります


by まみちゃん
先週のファミリーはお盆でお休みだったから、今日のファミリーは2週間ぶり。

お盆の頃は、故郷に帰って家族や親類・旧友とあったり、仕事を休んでゆっくり自分の好きなことができたりと、ちょっと特別な時間を持てるチャンスがある時期です。そんなことも含めて、今日集まったみんなが話してくれた面白い話。

①長野県南部のご主人の田舎に行ったOさんの話から
 お盆の迎え火の時、お祖母ちゃんが「ま~んど、まんど、ま~んど、まんど」といい、その時のごちそうを、まんどのごちそう、と言っているのに気づいたそうです。
 それを聞いてみんなで、まんどって何だろう?って、思いを巡らせていると、「”万灯”ってイメージが浮かんでくるけど、どうかな」と2人が同時につぶやいた。さらに「精霊流しが思い浮かぶね」のことばに、みんな頷く。
 亡くなった人の魂を呼ぶのが”ま~んど、まんど”の声、戻って来た人たちに振る舞うのが”まんどのごちそう”なのかな?

②Pちゃん、家族団らん・食事の時に、ヒッポのCDをかけていたら・・・
 韓国語を話せるお祖父ちゃんが、CDから聞こえる韓国語につられてか、韓国語が話したい気分になるらしく、思わず家族に韓国語で話しかけていた。
 ことばが聞こえる環境が、人からことばを引き出すんだね。

③5年前の夏休み、子どもがホームステイした台湾の家族から、Iさん家族にメールが来た。
 なかなか日本に行けないから、遊びに来てください、というお便りだったそうです。5年の間、絶えることなく交流がつづいているというから、すごいな!

④Kさん、職場で、中国人の工員さんと話す。
 お疲れ様、といいたくて、中国語で何というのか聞くと「シンクーラ」とのこと。でも、それって「つかれた!」ってことじゃないのかな、と思う。日本語のお疲れ様のようなことばは、中国では使わないのかも・・・
 それはともかく、彼女が去っていく時、笑顔で「「シンクーラ」忘れないでくださいね。」ってわざわざ振り返って言ってくれたのがなにより嬉しかったそうです。
 
⑤息子の口から英語が・・・
 大学生となり家を離れてはや5年目の息子、今朝、下宿に戻っていく時に、「そろそろ行く時間だね」と私がいうと、「I'll be back~」だって。
 なかなかヒッポの活動に参加することもできないし、勉強で英語の本を読む機会はあっても、あまり話す機会もないらしいのだが、自然にそんな態度を見せてくれるのが、ちょっぴりうれしい。
# by ilbhmchan | 2010-08-19 23:05 | ファミリー(定例会)で

スタンダードって?

先週末、名古屋大学の留学生・高君(昨年秋、我が家にホームステイ)が、後輩の王さんを連れて、遊びに来てくれました。

高君は、台北育ちで普通語を話します。台湾語を普段話す事がないので、少しは分かる台湾語もあるっていう程度。もちろん、今は、私たちとの会話は日本語でできます。英語もかなり上手です。
王さんは、とっても日本語が上手。中国語はもちろん、台南育ちだから家族とは台湾語で話すと聞いて、ヒッポの台湾語のCDでいつも口にしていて気になるフレーズを、実際話してみて聴いてもらいました。

「離婚しや~、ソノコ」「アイちゃん脂肪~」「群、モアイ~」「たぱとちよ~ら~」などなど(そんな風に私の耳にきこえる)、空耳っぽいのもあるけど、台湾語は面白い音がいっぱい!!・・・・王さん、最初ちょっと考えているけれど、「ア~」といって分かって、自分の台湾語の音で、笑顔で言い返してくれるから、すごく嬉しい。

中国語は、すぐ「漢字でどう書くのかな?」「意味からいくとこの漢字かな?それを、こんな風に発音するのか」って思ってしまうけど、王さん曰く「台湾語は、標準表記も決まってないのがたくさんあるし、書けないのもあるから、あまり考えないで」っていう。発音も、そんな感覚だから、あまり細かいところは気にせずに、私たちの発することば(台湾語もどき?)を、おおらかに受けとめて、私たちの言いたいことを察してくれる。
こんな風に、気になることばの音やフレーズを面白がってやりとりしていたら、すごく王さんと仲良くなれるし、ことばも、お互いに通じあう意味を少しずつ運んでくれるようになる気がしました。


さて、話変わって、今日、家にヒッポの仲間が集まって、アイルランドから1年の留学を終えて帰国した娘も一緒に話をしていた時のこと。

アイルランドも公用語は英語とゲール語の国。一部の地方では、ゲール語が話されているものの、今は母語としてゲール語が話せる人は少なく、子どもの時、学校でまず基本的ゲール語を第二言語として習うそうです。ゲール語は、もともと英語と全く違うルーツの言語、文法は英語と似ていないとか。ゲールタハトといって、ゲール語を話す地域がもともといくつか残っているなかで、それぞれ少しずつアクセントやことばのルールもちがうらしい。

娘によれば、先生も、どのゲールタハトのことばで自分が習ったかによって、生徒に教えるゲール語が違うから、大学でアイルランド人の友人が集まって、ゲール語で話してみようとなったら、少しずつ違うのが当たり前なんだって。どれが正しいかもよく分からないそうです。「ゲール語に標準語はないからね~」と、アイルランドのお友だちは笑っていっていたそうです。

そんなアイルランドで、日本語を学ぶ人たちは、とても自然できれいな日本語を話すそうです。インドやマレーシア、言語的にいろいろなことばを話す人が混ざって住むヨーロッパの一部地域の人たちは、新たに言語を習得する時、比較的自然にそのことばを話すようですが、アイルランドの人たちも、そんな感じだといいます。


先日あった台湾の王さんやアイルランドの人たちが、ことばに柔軟なのは、子どもの頃から「正しい外国語(母語以外のことば)」を教えられるのではなく、「周りの人たちが大切にしていることばを緩やかに学んでいる」からではないかしら、と思った今日でした。
そして、ことばのスタンダードは、そこでことばを交わす人同士の間で自然にできていけばいいもので、初めからがっちり「正しい、間違っている」と今あるルールに縛られないほうが、人との関係も柔軟でいられるような気がするのですが。

台湾やアイルランドと同じ島国の日本、”多言語”に親しむことで、”私たち、もっとことばに柔軟になれる!”と思いたいな。
# by ilbhmchan | 2010-08-04 00:22 | ヒッポいろいろ
日曜日、夫と娘と一緒に見に行くことができました。
名古屋で上映されたら、絶対観に行きたいと思っていた映画です。


パリ20区の中学校で、“問題あり”の24人の生徒を受け持つ国語教師フランソワ。正しく美しいフランス語を教えようとするが、出身国や生い立ち、将来への考えなど、さまざまな背景をもつ子どもたちは反発し、葛藤がうまれる。

母語がフランス語でない子どもたちがたくさんいるため、生きていく手段として言葉を学ぶ意味ももちろん大きいけれど、フランソワと生徒の対話がすごい!そしてある時はそれが生徒同士のやりとりにもおよんでいく。対話の中で、お互いの中に変化が起こっていく様子が、こちらに伝わってくる。
少し大げさかもしれないけど、言葉を学ぶことって、人との対話の中で、自分の生き方を見つけていくことなのかな、って思いました。

フランスの学校の先生たちが、職員同士で赤裸々に自分たちの思いをはき出している場面や、女の先生が妊娠したことを同僚に報告する時に、みんなでシャンパンで乾杯するシーンでは、「日本の学校でも、先生同士もっと人間的な対話ができる環境があれば、精神的に病む人も少なくなるのでは」と思ってしまいました。
お母さんがフランス語が分からない少年が、先生とお母さんの間に入って通訳する場面では、身近に聞くブラジルの子たちの問題を思い出し・・・現実の教育についても、ちょっと考えさせられました。

それにしても、始めから終わりまで、ひたすらことばの力を感じる作品でした。学校の教室というひとつの場で、人と人との対話の中で、思春期の子どもの鬱積したり秘めたる思いが揺さぶられて、ことばになってひきだされてくる。教師も、自分の投げかけたことばへの生徒からの反応に、思いの及んでいなかったことに気づいてハッとする。

自分の思いを言葉にできない生徒が撮った写真を見て、そこに彼の思いを読み取れる教師もすごい!!

こんな教室で学べたら、多くの人は、人とことばの力を信じて生きていけるのでは?
# by ilbhmchan | 2010-08-03 16:18 | お気に入りアレコレ

ことばも音楽のように

iPodを車で聞けるようにしてもらいました。

先日東京を車で往復しましたが、行きはラジオ、帰りは音楽とヒッポのお話を聞いて、過ごしました。

帰りは、途中まで、運転手のナンピョンのリクエストで、クラシックあれこれを聞きましたが、浜松あたりからの何度かの渋滞で、ボッとして事故を起こしてはいけないと、メタ活タイムにすることにしました。
ほとんど普段聞くことのない、タイ語、マレー語、イタリア語、ロシア語の4カ国語のエディション版のHippo goes over seas を選んでみたのですが・・・

なんと、ずっと音楽漬けだった直後だったせいだと思うけれど、どのことばも、とってもその抑揚やリズムに自分の意識がいっているのに気づき、ビックリ!榊原さんが「言語音楽」という言い方を「ことばを歌え、子どもたち」のどこかでされていたのを、思い出しました。

みんなも一度、音楽をたっぷり聴いて、そのノリで同じようにことばを聴いて、口ずさんでみてください。
新鮮な感覚で、ことばが感じられますよ。
# by ilbhmchan | 2010-07-20 22:37 | ヒッポいろいろ
 6月下旬から来週まで、8コマの講演会。
 贅沢なことに、たくさんの人の体験を聞いて、学ぶことがたくさんある今日この頃。

 最近は、講演会を聞きに来る方に留学や海外滞在などを経験された方、あるいは、ご自身や家族が日本人ではない方なども多く、講師の海外の方との交流の話では、ご自分の体験を思い出される方も多いようです。いろいろなことばや文化に触れる経験は、きっと一昔前と比べものにならない多さなのでしょう。実際に人に会って理解しあおうとすることは、貴重な体験、国やことばのちがいの垣根を低くしますよね。
 
 ”母語のように自然にことばを習得する”ということに関しては、どうでしょう。「習うより慣れろ」「耳から覚える」「現地に行ってしまえば話さざるをえないから、話せるようになる」という考えがありますが、そんな簡単にはいかないことを感じている方が多いようです。本当に母語のようにことばを習得したければ、赤ちゃんの習得プロセスをまねるだけでもだめ、ただそのことばを周りに話す人がいるというだけでもダメ。
 全くわからないことばの音の中を泳ぐようにしながら、それぞれのことばの中にその特徴や秩序を見つけ、人とのやりとりを通して、それがことばとして働くのを体験し、そうしながらことばを身につけていくのが、自然習得だと思うのです。多言語の国の人の多くは、この感覚を自然に持つことができるのでしょう。この感覚がばっちり身についたら、きっと、大人でも子どもでも何語でもすぐに話せるようになるんだろうな、と思います。

 ヒッポのファミリーでは、人間が本来持っているはずのそんな感覚を、みんなが呼び起こせる場を目指しています。色々な体験を持つ講師の話を聞きながら、私も周りの仲間たちと、そんな場が作れているかな、と改めて思い、”ファミリーをもっともっと多言語の響く楽しい公園にしたい”と感じています。
# by ilbhmchan | 2010-07-02 17:28 | ヒッポいろいろ